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顔面神経麻痺の診断と障害の程度

顔面神経麻痺を診断するうえで重要なことは
①原因疾患、病態の診断
②障害程度の診断(重症度診断と予後の診断)
③障害部位の診断
の3つになります。

原因疾患および病態の診断では、先天性なのか、後天的なものなのか、感染性なのか、外傷的なものなのかを判断しなければなりません。
また、臨床上多いのがBell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)、真珠腫性中耳炎とその手術損傷によるものです。
また、顔面神経麻痺という主症状だけではなく、付随してくる症状がある場合もあるので注意が必要となります。
障害程度の診断では、40点法(柳原法)を中心に、House-Brackmann法、Sunnybrook法など、顔面運動の評価法によっておこなわれますが、麻痺の重症度と予後は必ずしも一致しないことがあり、完全麻痺の状態のなかにも予後良好の患者さんもいますので予後診断が必要となります。

神経損傷程度の分類を確認するには、Seddonの分類と、さらに細かく調べるSunderlandの分類を参考にします。

■Seddonの分類では、
①神経無動作:神経遮断、神経麻痺、一過性伝導障害(neuropraxia)
②軸索断裂:(axonotmesis)
③神経断裂:(neurotmesis)
の3段階で分けられます。



神経障害の程度と再生の分類
神経障害の程度と再生の分類(Sunderlandの分類)


■Sunderlandの分類

1度:生理的伝導ブロックの状態、neuropraxiaに相当する。圧迫が解除されれば伝導ブロックは解除され、1ヶ月以内に回復する。

2度:axonotmesisに相当、軸索流が停止して末梢側の栄養が途絶えて軸索は編成に陥る。endoneural tube (神経内膜管)の損傷は起こらない。
神経の再生は完全で、病的共同運動の原因となる過誤支配は起こらない。
回復には3週間〜3ヶ月かかる。

3度:endoneural tube (神経内膜管)に損傷が起こった状態。
Waller変性(神経変性)が生じる。
発症2〜4ヶ月の間は回復を認めない。
神経再生の段階で、損傷の程度に応じて過誤支配やエファプス形成を生じるので、病的共同運動などの後遺症を生じる。

4度:神経外膜のみ断裂せずに残っている状態

5度:神経外膜まで断裂している状態

4度:5度の高度麻痺では自然治癒は望めず、神経吻合や移植など、外科的処置が必要。
Bell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)は、神経断裂まで起こらないので、1〜3度の障害となります。

神経障害の程度は、障害された神経を生検するわけにはいかないので、誘発筋電図などの生理学的検査によって判定することが一般的です。
しかし、神経変性は障害部位から末梢に進むために、発症早期には神経変性を正確に診断することはできません。
Bell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)の場合、障害部位は膝神経節であるが、電気刺激が可能な茎乳突孔より末梢において神経変性が完成するには7日〜10日を要するので、この期間には正確な予後診断はできません。
また、糖尿病など、神経再生を妨げる基礎疾患がある場合はなおさら正確な診断ができないこともあります。

顔面神経麻痺 顔面神経麻痺2 顔面神経麻痺3

顔面神経麻痺4 顔面神経麻痺5 顔面神経麻痺6

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