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症状別Q&A 4ページ目

双極性障害を治す秘訣は

双極性障害の治療のポイントはドーパミンの分泌量をどうコントロールするかです。
これは、パーキンソン病の治療とリハビリに似ていますが、薬物療法では、躁状態の時にドーパミンの分泌を抑制させる目的に、抑うつ状態では、ドーパミンの分泌を増やす目的に治療します。
 
鍼灸治療の場合、これを他力ではなく自力でおこなえるように促します。
 
双極性障害は、脳のドーパミンの分泌量の異常によって引き起こされますが、自覚する症状は、自律神経の機能不全になります。
 
神経は「中枢神経」(脳と脊髄)と体中に張り巡らされている「末梢神経」に分けられます。
 
末梢神経は意思によって身体の各部を動かす「体性神経」と意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整する「自律神経」に分けられます。
 
自律神経は、交感神経と副交感神経とに分けられますが、この2つの自律神経の働きのバランスが崩れると、全身的症状としてだるい、眠れない、疲れがとれないなど、器官的症状として頭痛、動機や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、下痢や便秘、冷えなど多岐にわたります。
 
精神的症状としては、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れることもあります。
 
鍼灸治療では、自覚する様々な自律神経症状を改善しつつ、根本的なドーパミンの分泌量をコントロールすることもできます。

双極性障害の治療法は

薬物療法
双極性障害の予防に有効な可能性がある薬のうち、抗精神病薬以外の薬を、気分安定薬と呼んでいます。日本で用いられている気分安定薬には、最も基本的な薬とされるリチウムがあります。
 
リチウムには躁状態とうつ状態を改善する効果、躁状態・うつ状態を予防する効果に加え、自殺を予防する効果もあります。しかし、リチウムは副作用が多く、量の調節が難しい薬でもあります。
 
気分安定薬にはリチウム以外に、元々抗てんかん薬として使われていたラモトリギン、バルプロ酸、カルバマゼピンがあります。
 
また、非定型抗精神病薬であるクエチアピン、オランザピン、アリピプラゾールも使われています。

鍼灸治療

当院の鍼灸治療では、患者さんの全体的な病状、その日の病状時期によって治療方針を組み立てます。
大きな治療方針の枠組としては、中医学による全身症状の改善、現代生理学による自律神経機能の改善、脳科学の検知から脳機能の改善をおこないます。
 
東洋医学の考え方として、本治と標治というものがあります。本治とは、病気の根本的な原因をなおすこと、そして標治は、自覚している症状を治すものです。一般的に西洋医学の治療は、標治を主におくことが多いです。
しかし、東洋医学の考え方ではどちらの治療も必要と考えており、特に双極性障害のような症状が変動する病気に対してはどちらも必要になってきます。当院の治療方針では、東洋医学的な治療法だけでは足りない部分を、現代生理学と脳科学的な治療法から補うことで、より安定して確実に症状を改善することができます。

お腹の痛みとともに、便秘や下痢などが数ヵ月以上続く病気

お腹の痛みとともに、便秘や下痢などが数ヵ月以上続くお悩みはありませんか。その悩みは、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
 
過敏性腸症候群の特徴は、便秘と下痢を繰り返す症状が3ヶ月以上続いていること、そして、他の検査で異常所見がみられないことです。

過敏性腸症候群の原因はストレスです。現代のストレス社会において、体におけるストレスの影響は度外視できなくなってきたということで、ストレスを受けた体の腸は、収縮運動が激しくなり、また、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。この状態が強いことがIBSの特徴です。

過敏性腸症候群の診断基準

現在、過敏性腸症候群の診断基準は2016年に改定されたローマⅣです。
 
また、ローマⅢからⅣに変更された最大の要点は腹部不快感を診断基準から除外したことです。

ローマⅣ診断基準
最近3ヶ月間、月に4日以上腹痛が繰り返し起こり、次の項目の2つ以上があること。
 
  • 排便と症状が関連する
  • 排便頻度の変化を伴う
  • 便性状の変化を伴う
期間としては6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間は上記基準をみたす
 
※大腸に腫瘍や炎症などの病気がないこと

ローマⅣ:便の性状と頻度による分類

  • 便秘型硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便または水様便が25%未満のもの
  • 下痢型軟便または水様便が25%以上あり、硬便または兎糞状便が25%未満のもの
  • 混合型硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便または水様便も25%以上のもの
  • 分類不能型便性状異常の基準が上記のいずれも満たさないもの
過敏性腸症候群は、ストレスの影響で自律神経が乱れ、排便のリズム、形状が崩れてしまう病気です。そのため、ストレスの原因となる会社等が休みの日やプライベートなどにはあまり症状が出ず、ストレスの多い時期になると症状が強くなる傾向にあります。
 
診断基準にある便の状態をわかりやすく言い換えると以下のようになります。

便秘型:けいれん性便秘
便秘型は腹痛を伴い、ウサギのフンのようなコロコロした便がポタンと落ちて水に浮かびます。
 
下痢型:神経性下痢
下痢型は激しい腹痛の後、粘液性の下痢便が出ます。
朝起きてすぐ、朝食後、出かける前、電車の中、到着後など、便意をもよおす回数が多いのが特徴です。
 
混合型:交代性便通異常
以前は、過敏性腸症候群の特徴として便器と下痢を繰り返すことにありました。まさに混合型が典型的な例となります。
 
混合型は下痢と便秘を繰り返します。 便通の異常以外に食欲不振や腹部膨満感、吐き気、おなら、頭痛などを伴う場合もあります。

過敏性腸症候群の合併症

過敏性腸症候群で、注意すべき点は、合併症を引き起こしたり、症状が長期継続し、中には症状の種類が変化することがあることです。
 
一部報告によれば、たとえば、下痢型の患者さんの場合、12年後も下痢型のままの人は20%、15%の人は混合型に変化、35%の人は症状がなくなったとの報告があります(便秘型になった人はいませんでした)。
※日本消化器病学会ガイドライン

過敏性腸症候群に対する鍼灸治療

過敏性腸症候群でお悩みの方は、すでに様々な治療をしてきたかもしれませんが、しっかりと治すには、まず自力で体を正常化する必要があります。いつまでも薬に頼っているとなかなか症状が安定しません。
 
しっかり治すには鍼灸治療が効果的です。鍼灸治療は、今感じている痛みや便通異常を和らげ、異常をきたす元となるストレスの影響を受けた自律神経の乱れを整えやすい治療法です。
 
鍼灸治療の良いところは、過敏性腸症候群の治療でよく使用されるセロトニン拮抗薬や抗うつ剤などの薬物にみられる副作用がないことです。
 
また、過敏性腸症候群に対する鍼灸治療の効果は、世界中の国々でIBS患者を対象に鍼灸治療の臨床研究が行われ、その結果が論文として報告されています。一部、臨床研究をご紹介します。

便秘優勢型過敏性腸症候群患者における脳腸機能に対する電気鍼治療と温灸の比較

便秘型IBS患者63人に対して、天枢・上巨虚に鍼通電(2Hz 30分)あるいは温灸を6回/週で4週間行った(計24回)。
 
鍼通電群では、腹痛、腹部膨満感、排便回数(約2/週→約5/週)、排便困難感、便の性状(ブリストルスケール;約1.5→約3.3)が改善した。
 
また、不安感、抑鬱感が治療直後から3ヵ月後にわたって改善した。さらに直腸をバルーンで刺激した時の排便切迫感や痛みも改善した(温灸より効果があった)。
 
MRIで直腸をバルーンで刺激した時の脳の神経活動をみると、前帯状皮質、前頭前皮質などの神経活動が活性化したが、鍼通電治療後には活性が低下した。

下痢が主な過敏性腸症候群または機能性下痢の患者に対する電気鍼治療: ランダム化比較試験

下痢型IBS患者448人に対して、①曲池・上巨虚への鍼通電(15Hz 30分,16回/4週)、②天枢・大腸兪への鍼通電(15Hz 30分,16回/4週)、③ロペラミドによる薬物療法の効果を比較した。
 
鍼通電はロペラミドと同等の効果を示した(排便回数が減少、便性状が改善、普通便が増加)。

過敏性腸症候群に対する鍼治療

プライマリケアに基づいた実用的なランダム化比較試験
 
116名のIBS患者に対して、中医学的な診断を元にした個人に応じた鍼治療を約3ヶ月間に平均10回行った。
 
IBSの症状の度合いを評価するIBS Symptom Severity Scale(SSS)が、鍼治療を併用した場合に有意に減少した。さらにその効果は6ヶ月後、12ヶ月後も持続した。

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