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顔面神経麻痺の治療~新たなガイドライン~
6/10,6/11と久しぶりに対面式の鍼灸学会に参加しました。
6/2,6/3と大阪の豊中で顔面神経学会があったばかりなので大忙しです。
今回参加した全日本鍼灸学会は、年に1回の行事。
今回は、当院でも以前から臨床でおこなっている顔面神経麻痺の治療に対する鍼灸治療の立ち位置を鍼灸学会ではどのように解釈するのか確認したかったからです。
2011年にまとめられた顔面神経麻痺のガイドラインでは、鍼灸治療は効果があるけどエビデンスが乏しく、鍼灸師間での認識がバラバラ、低周波は禁忌などのざっくりとしたものでした。
今年2023年に改定された内容の中で鍼灸治療は、
「予後不良例(重症)に対して麻痺の回復過程で後遺症をいかに軽減させるか」
という位置づけがあります。
顔面神経麻痺に対する鍼灸治療は、表情筋の血行改善や神経の回復促進、後遺症を認める場合は、拘縮(こわばり)軽減を目的としています。
わかりやすくいうと、治療後のセルフケアを円滑に行えることを重視し
①個々の表情筋の拘縮の軽減
②顔面の血流の促進
③突っ張りや痛みを軽減
④首から肩のコリ感や違和感の軽減
などがあげられます。
重要なことは、患者さんが日常生活において
「顔の違和感を気にしない」こと
★気にしないでしゃべれる
★気にしないで食事ができる
★自然な笑顔ができる
ということではないでしょうか
顔面神経麻痺は、顔の麻痺だけでなく難聴を伴うものもあります。
そして、
・日常のストレスから病気として発症する麻痺
・怪我など外傷性として発症する麻痺
・妊娠、出産後の免疫力低下から発症する麻痺
など発病状況もさまざまです。
人はからだが資本。からだがしっかりしていないと薬も効きません。
患者さんの状態に合わせ、整え、個々の麻痺に対して細かく、直接治療し再生を誘導するのが鍼灸治療です。
麻痺の検査、評価法では、
40点法で20点以上は軽症、18~12点は中等症、10点以下は重症と分類します。
また、
40% > ENoG値 ≧ 20% 2ヵ月以内に治癒するがわずかに後遺症が残ることがある
20% > ENoG値 ≧ 10% 4ヵ月以内に治癒するがわずかに後遺症が残る可能性が高まる
10% > ENoG値 半数は治癒せず、治癒しても6ヵ月以上必要で、後遺症が残る
とされています。
顔面神経麻痺になったら、薬と同時進行で構いません。
発病から1日でも早く、顔面神経麻痺専門の鍼灸治療をはじめましょう。