専門外来のご案内 : メニエール病
目次
患者さんと二人三脚で治すメニエール病
当院は平成元年より難聴や耳鳴り、めまいに悩む多くの患者さんと接してきました。当院を訪れる患者さんのほとんどは、病院でも治らず、どうすれば治るのか迷っている人ばかり。
専門外来は、患者さんと一緒になって希望の光を見つけるため設立しました。専門外来の意味は処置に急を要し、専門的な治療が必要ということ。メニエール病は発症してから1時間、1日と経過するにつれ治りにくくなる病気です。
メニエール病は、女性に多く発症し、はじめは突発性難聴と診断されるケースも少なくありません。また、繰り返し発症し、どんどん悪化していく病気でもあります。そのため、患者さん一人ひとりと向き合い、二人三脚でこれからの治療、対策をおこなっていきます。メニエール病には鍼灸治療が最も効果的です。共にめまい、難聴を克服していきましょう。
当院のメニエール病治療の特徴!
01 ステロイドのような副作用がない
ステロイドや高圧酸素療法では、どちらも身体に大きな負担がかかるため、めまいや症状の悪化などの副作用が起こる場合があります。その反面、当院での鍼灸治療は、患者さん一人ひとりの状態、体質に合った無理のない治療で安心して治療を受けていただけます。鍼灸治療は、妊娠中、授乳中、癌、糖尿病などステロイドを使えない状況でも治療可能となります。
02 患者さんが納得するまで丁寧にご説明
当院では、的確な問診と患者さんの身体の声にも耳を傾け、現在の病状とこれからの治療方針、経過などを丁寧に対応、ご説明させていただきます。気になっていることすべてを吐き出し安心して治療に専念していただきます。
03 安全・安心・信用を徹底した高水準の治療
当院の理念として、安全・安心・信用があって初めて治療が成り立つと考えています。
1本1本滅菌処理されている使い捨ての鍼を使用することで安全を確保。その中でも髪の毛より細い鍼を使用することで恐怖感を軽減し、鍼は痛くないことを知ってもらいます。当たり前のことですが、当たり前のことを徹底することで患者さんに安心してもらい信用につながると考えています。
04 最小限の負担で最大限の治療を実現
上記3つの理由が合わさることで初めて実現する治療効果があります。一番大事なことは患者さん第一主義!患者さんと正面から向き合う環境を整えることで回復する可能性が高まります。
また、鍼灸治療は副作用がないといっても全身の血流が改善するため、走った後の疲労のような状態が出てしまいます。そのため、ツボ、治療法を見極めて体にかかる負担を最小限におさえることで、治療効果は倍増します。
05 国家資格保有で、専門分野の鍼灸師が担当
当院スタッフは全員、厚生労働大臣の行う国家資格の鍼灸師。治療に使う道具は鍼とお灸のみ!当院勤務後一定年数以上の実務研修を経た後に各専門分野の治療に専念するスペシャリストです。
06 スタッフの明るさだけでも元気に
笑う門には福来る!病は気から!というように、病に苦しんでいる患者さんは気持ちが負けてしまいがち、私たちが元気でいないと患者さんも元気になりません。スタッフ一同、明るく元気な笑顔で対応します。帰る際には元気になる人も少なくありませんよ。
こんな症状は赤信号!一日でも早い治療が必要
- グルグルめまいがしている
- めまいを繰り返す
- 聞こえが悪くなった
- 最近、耳鳴りがする
- 病院で治療しても変化がない
- 妊娠中・授乳中・癌・糖尿病などで薬が使えない
- 寝不足や首肩の凝りが気になる
メニエール病とは
めまいといえばメニエール病と言われるほど有名ですが、めまいとは
- グルグル回っているように感じる(回転性めまい)
- フワフワしたところを歩いているように感じる
- 頭がグラグラする
といった症状の総称で、めまいの種類や、それにともなってあらわれる症状によって病名も変わってきます。めまいの原因をしっかりと診断し、的確な治療をして楽になりましょう。
患者さんがメニエール病かなと思うときは、ほとんどがめまい症状しか出ていない時です。それはメニエール病ではありません。また、頭がフワフワする、ぼーっとして集中できないといっためまいもメニエール病とは違います。
それでは、メニエール病とはどんな病気でしょうか。
患者さんがメニエール病を疑わなければならない症状は、「めまい・耳鳴り・難聴」があらわれた時です。激しいめまいを繰り返しているときは要注意です。
また、メニエール病を発病する患者さんの共通点、原因には
- ストレス
- 睡眠不足
- 疲労
- 気圧の変化
- 几帳面な性格
などが関係していると言われています。
症状と診断基準
メニエール病は、何の誘引もなく突然、回転性(ぐるぐる回る)めまいが起こり、めまいと同時に、あるいはめまいの少し前から、片耳に耳鳴りや耳の閉塞感、難聴が起こります。
めまいを繰り返す間隔は人によって違い、数日、数週間、数カ月、あるいは1年に1回などさまざまです。
激しいめまいは、普通30分くらいから数時間続き、めまいの軽快とともに耳鳴り、耳の閉塞感、難聴は軽くなったり消失したりします。しかし、めまいを何回も繰り返しているうちに、めまいがおさまっても耳鳴りや難聴は軽快しないようになります。
めまいが激しい時は、これらの症状以外にも吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸などが起こることもよくあります。
メニエール病は「くり返す」エピソードがあって初めて診断できるため、十分な問診が必要です。めまいの診察では体のバランスを調べる検査や眼振検査をおこないます。聴覚症状に対しては耳内を観察し、聴力検査を行います。
症状がめまいのみでも、隠れた難聴がある場合を想定して聴力検査を行う必要があります。逆に聴覚症状のみでも、隠れためまいがないか眼振検査を行う場合があります。
聴力検査では、メニエール病に特徴的な難聴が認められます。特徴は、低音障害型(低い音が聞こえにくい)あるいは水平型で補充現象(音が響いて聞こえる)などが確認されます。
また、厚生省特定疾患研究班調査によると、メニエール病は女性に多く、発症年齢は30歳代後半から40歳代前半に最も多く発症しています。
メニエール病の診断兆候
メニエール病の特徴は、
- 繰り返すめまい発作
- 耳鳴り
- 難聴
- 内リンパ水腫
ということがあげられます。
内リンパ水腫
内リンパ水腫は水ぶくれの状態
内リンパ水腫は、内耳の中の内リンパ液が過剰になり、内耳が腫れた状態になることです。
内耳はカリウムに富んだ内リンパ液で充填された膜迷路と呼ばれる器官と、骨迷路と膜迷路の間を充填するナトリウムに富んだ外リンパに別れています。
メニエール病の本体である内リンパ水腫(膜迷路に内リンパ液が過剰に溜まり、膨らんだ常態である)の内圧上昇により内リンパと外リンパを隔てている膜が膨張し、ついには破裂し、カリウムに富んだ内リンパとナトリウムに富んだ外リンパが混合し、平衡や聴覚をつかさどっている感覚細胞が化学的刺激を受けること、あるいは物理的な刺激を受けることで、激しいめまいや聞こえの症状としてあらわれます。
内リンパと外リンパを隔てている膜は短時間で閉鎖しますが、再度内リンパ液が溜まるとまた膨張・破裂を繰り返し、めまいや聞こえの症状も繰り返すことになります。
感音性難聴
メニエール病は、感音性難聴に属します。感音性難聴とは、耳にある鼓膜や中耳炎という病名にもなっている中耳(ちゅうじ)と呼ばれる部分よりも内側の障害に起因して聞こえなくなるものをいいます。
音は空気が振動し、耳の穴を通り鼓膜へぶつかってその振動が蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる器官まで伝わります。蝸牛で空気の振動が電気信号に変換され、その電気信号が脳へ伝えられてはじめて音として認識されます。
この音の伝達過程の中で蝸牛より外側が障害され引き起こされる難聴を伝音性難聴、内側が障害され引き起こされる難聴を感音性難聴とそれぞれ呼んでいます。
感音性難聴の症状としては、難聴のほかに蝸牛の障害として補充現象という音が過剰に聞こえてしまう症状や、高音部分の聴力低下に伴う聞き間違いといった症状が出てきます。
一般的に感音性難聴を発症した場合、構造的な問題から伝音性難聴よりも症状は強く、回復しにくい傾向にあります。突発性難聴やメニエール病、ムンプス難聴などがこの難聴に分類されます。
感音性難聴患者の聴力の傾向とその障害部位
感音性難聴は骨導・気導ともに聴力が低下します
蝸牛の内側(ピンク部)に障害が起きています
低音障害型難聴
低音障害型難聴
水平型難聴
低い音を感じる神経が障害された難聴が急に起こった状態です。典型例では、聴力検査で250Hzを中心に谷状の感音難聴がみられます。蝸牛の中心部が障害された場合に起こりますので、内リンパ水腫の初期に起こりやすい難聴です。
初めて発症した場合には、ストレス性の血行障害やウイルス感染による一時的な低音障害型突発性難聴によるものか、蝸牛型メニエール病の初回発作かどうかの区別がつきませんので、再発に気を付けなければなりません。当院では、病院で突発性難聴と診断されたが、その後、何度もめまいと難聴を繰り返し悩んでいると相談される患者さんも少なくありません。
めまいをともなう病気
良性発作性頭位めまい症
良性発作性頭位めまい症の特徴は、
- 頭を横に動かすとめまいを誘発する
- 頭を動かさなければめまいは起きない
- 難聴はあらわれない
ということがあげられます。
ストレスや疲れが溜まっている人、睡眠不足の人、肩こりが強い人等は要注意です。
椎骨脳底動脈不全症
長年、めまいとそれに伴う様々な症状に苦しむときは疑いましょう
心臓から出た動脈が、首の骨である頸椎の中を通る椎骨動脈と、そこから後頭部のところに来て脳の中に入って行く脳底動脈の総称を椎骨脳底動脈といいます。
椎骨動脈は、頸椎にある細い穴を通っているので、頸椎のズレや頸椎周りの筋肉の緊張などの影響をうけやすく、脳底動脈は、後頭部のところで急カーブして脳に入って行くので、後頭部周りの筋の緊張の影響をうけやすい構造となっています。
椎骨脳底動脈不全症とは、動脈硬化により血管がアテローム変性し、通り道が細くなっている状態を指しますが、頸椎のズレや周りの筋緊張の影響で血流不全になる場合も、椎骨脳底動脈不全症の症状があらわれます。
めまいを伴う症状チェック項目
椎骨脳底動脈不全は、めまいとともに以下の様な症状があらわれます。
- 難聴や耳鳴りなどの耳の症状が現われることはほとんどない
- 靴を履くなど下を向いた時にめまいが起きやすい(縦の動き)
- 手足のしびれ
- 頭痛
- 嘔吐や吐き気
- 物が二重に見える(複視)
- 霧がかかったように見える(霧視)
- 意識が遠のく
- 冷や汗
- 口周囲のしびれ
メニエール症候群
一般的に言われているメニエール病。患者さんからしたらメニエール病と変わらない
メニエール病とは別に、メニエール症候群という病気もあります。これは、メニエール病と同様に「めまい」、「耳鳴り」、「難聴」の症状があらわれますが、違いは「内リンパ水腫がない」ということです。
レルモワイエ症候群
「めまい」から症状があらわれない病気
めまいがあらわれる病気の一つとして、レルモワイエ症候群という病気があります。メニエール病は、繰り返す激しいめまいが先にあらわれますが、レルモワイエ症候群は、難聴や耳鳴りの後に「めまい」があらわれます。また、メニエール病同様に「内リンパ水腫」が確認できます。
早急な対応が必要なめまい
小脳出血
小脳出血の症状は、回転性めまい発作、頭痛、嘔吐が特徴的で、四肢の麻痺や意識障害も早期にあらわれ、項部硬直(あおむけで頭を持ち上げると抵抗がある状態)、眼振もあらわれます。
その他、Wallenberg 症候群(後下小脳動脈閉塞)、前下小脳動脈梗塞なども注意が必要です。
こどものめまい
子供に最も多いめまいには起立性調節障害という病気があります。これは体の発育に比べて循環器系や自律神経系などの身体機能の発育が未熟なために、急に立ち上がった時に必要な頭蓋内への急速な血液供給が間に合わない場合に発症します。いわゆる脳貧血状態です。
症状は立ち上がった時の「眼前暗黒感」、「ぐらぐらするめまい、立ちくらみ」、「嘔気」、「頭痛」、「腹痛」などです。
したがって、問診上で典型的な回転性めまいの訴えの場合には起立性調節障害以外の他のめまい疾患を考えるべきです。
小児自律神経研究会が作成した起立性調節障害の診断項目は大症状と小症状の二つに大別されています。
めまい・メニエール病のツボ
めまいのツボ
実際の治療では、メニエール病に至った原因を客観的に追求し、患者さん一人ひとりに最適な治療を行っていきます。
一般的な鍼灸治療としては耳の周囲にある「耳門(じもん)」、「聴宮(ちょうきゅう)」、「聴会(ちょうえ)」というツボを使用することが多く、また、耳を含めた首から上の血流改善に効果がある「天柱(てんちゅう)」、「完骨(かんこつ)」といったツボも頻繁に使われます。
その他、患者さんの状態に合わせて治療方針を決めていきます。
*患者さんの症状によっては、関連する器官として腰や手、足にあるツボに治療を行うこともあります。
耳の周囲のツボ:耳門・聴宮・聴会
首周囲のツボ:天柱・完骨
内関(ないかん)
内関は、手の平側で、手首のシワから指3本分上に位置するツボで、めまい、ストレスがたまった人、情緒不安定、うつ症状、不眠症、車酔い、あがり症などの症状のによく使われています。
内関を刺激することで、普段から精神安定をもたらし、冷静さを保てるようになります。また、百会と合わせて使用することで相乗効果がうまれます。
心配性な方、トラウマがフラッシュバックしてしまうような方には、普段からここに極短い貼るタイプの鍼を貼っておくこともあります。また、不安が強い方、寝つきが悪い方には、寝る前に自分で刺激するといいでしょう。
百会(ひゃくえ)
百会は、頭のてっぺんにあるツボで、全身にある経絡が交わるところで、全ての臓器と繋がっているとされています。そのため、全身的に自律神経のバランスを整え、活性化してくれます。
ストレスが蓄積した時、不眠、不安が強い時、症状が長期間続いていることが原因でめまいが起こっている時に使用するツボです。 女性が起こしやすい脳貧血によるめまい、頭痛などにも効果的です。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、女性を治療するうえで代表的なツボです。
主に、女性ホルモンの働きを整え、女性らしくしてくれるツボです。
三陰交は、生理痛を和らげたり、生理周期を整えたりすることで頭痛や肩こりなどの緩和につながります。
男性にとっての三陰交は、足の冷えなどを改善させることができ、下半身の血流改善をすることで上半身の過剰な血圧を下に分散させたり、逆に血液を押し上げる効果があることで頭痛の改善につながります。
メニエール病の治療実績例
実際の治療では、メニエール病に至った原因を客観的に追求し、患者さん一人一人に最適な治療を行っていきます。 一般的な鍼灸治療としては耳の周囲にある「耳門(じもん)」、「聴宮(ちょうきゅう)」、「聴会(ちょうえ)」というツボを使用することが多く、また、耳を含めた首から上の血流改善に効果がある「天柱(てんちゅう)」、「完骨(かんこつ)」と言ったツボも頻繁に使われます。 その他、患者さんの状態に合わせて治療方針を決めていきます。
*患者さんの症状によっては、関連する器官として腰や手、足にあるツボに治療を行うこともあります。
5歳未満女性
治療前
発症年月日:2009年7月
初診日:2009年9月
治療前検査日:2009年8月
治療中検査日:2009年12月
備考:ムンプス難聴
治療後
発症年月日:2009年7月
初診日:2009年9月
治療前検査日:2009年8月
治療中検査日:2010年4月
備考:ムンプス難聴
9歳女性
治療前
発症年月日:2009年7月
初診日:2009年8月
治療前検査日:2009年8月
治療中検査日:2010年1月
備考:突発性難聴
治療後
発症年月日:2009年7月
初診日:2009年8月
治療前検査日:2009年8月
治療中検査日:2010年4月
備考:突発性難聴
10代~50代女性
10歳女性
発症年月日:2015年11月
初診日:2016年2月10日
治療前検査日:2016年1月
治療中検査日:2016年7月
備考:突発性難聴
10代女性
発症年月日:2009年5月
初診日:2009年7月
治療前検査日:2009年7月
治療中検査日:2009年8月
備考:突発性難聴
20代女性
発症年月日:2009年4月
初診日:2009年5月
治療前検査日:2009年4月
治療中検査日:2009年5月
備考:突発性難聴
30代女性
発症年月日:2012年6月
初診日:2012年6月
治療前検査日:2012年6月
治療中検査日:2013年1月
備考:突発性難聴
30代女性
発症年月日:2016年1月
初診日:2016年2月
治療前検査日:2016年2月
治療中検査日:2016年2月(鍼灸治療後2週間)
備考:メニエール病
初診の鍼灸治療でめまいがほぼ無くなる
30代女性
発症年月日:2012年5月
初診日:2012年10月15日
治療前検査日:2012年10月12日
治療中検査日:2012年1月17日
備考:メニエール病
発症5か月後に来院、めまいはフラフラ
程度で、難聴が主症状。
40代女性
発症年月日:2013年6月
初診時:2013年8月
治療前検査表:2013年6月
治療中検査表:2013年10月
備考:メニエール病
めまい、難聴とも強く現れていた。
50代女性
発症年月日:2009年11月
初診日:2009年11月
治療前検査日:2009年11月
治療中検査日:2010年1月
備考:メニエール病
めまいが激しい為、在宅での治療
活動実績
当院グループでは、メニエール病、突発性難聴、顔面神経麻痺など耳鼻疾患に関わる鍼灸師向けの治療セミナーをおこなっております。また、関係学会に参加し、院内勉強会で情報共有することで、より先進的、高度な治療を患者さんに提供するための取り組みもおこなっております。
関連する参加学会
- 日本耳鼻咽喉科学会
- 日本小児耳鼻咽喉科学会
- 日本めまい平衡医学会
- 日本顔面神経学会
- 全日本鍼灸学会
めまい・難聴治療セミナー
東洋医療臨床技術大学校アカデミー
第1期(2009)~第8期(2017) 難聴治療セミナー
NPO全国鍼灸マッサージ協会 支部活動
- 2015/9 和歌山支部
- 2014/8 兵庫支部
- 2010/4 長野支部
- 2009/9 静岡支部
- 2008/8 大阪支部