症状別Q&A 6ページ目

機能性ディスペプシアの診断基準

機能性ディスペプシアは食後愁訴症候群と心窩部痛症候群の2つに分類されます。
 
食後愁訴症候群は、食後のもたれ感や摂取開始後すぐに満腹感を覚える早期飽満感を主症状にするものです。一方、心窩部痛症候群は、心窩部(みぞおち)の痛みや灼熱感を主症状にします。

★機能性ディスペプシアの診断基準
下記の症状のいずれかが診断の少なくとも6か月以上前に始まり、かつ直近の3か月間に下記症状がある。
 
1.つらいと感じる心窩部痛
2.つらいと感じる心窩部灼熱感
3.つらいと感じる食後のもたれ感
4.つらいと感じる早期飽満感
 
及び症状を説明しうる器質的疾患はない。

食後愁訴症候群の診断基準
少なくとも週に3日、次の1-2のいずれか1つか2つを満たす。
 
1.つらいと感じる食後のもたれ感
2.つらいと感じる早期飽満感

心窩部痛症候群の診断基準
少なくとも週に1日、次の1-2のいずれか1つか2つを満たす。
 
1.つらいと感じる心窩部痛
2.つらいと感じる心窩部灼熱感

機能性ディスペプシアに対する鍼灸治療の有効性

機能性ディスペプシアは、胃腸の働きを支配している自律神経系の機能障害です。機能障害は、薬でどうにかなるものではなく、神経の働きを正常に戻してあげることが必要です。
 
鍼灸治療は、自律神経の働きを正常にすることを得意とする治療法で、機能性ディスペプシアの症状である胃もたれ、みぞおちの痛みなどを楽にすることができます。
 
機能性ディスペプシアに対しては、世界中で研究が進んでおり、以下にいくつか研究論文をご紹介します。

機能性ディスペプシアに対する鍼治療

単一盲検、ランダム化、対照試験
 
【対象】
56人(男性:21人、女性:35人)の機能性ディスペプシア患者
RomeⅢ診断基準の食後愁訴症候群の基準を満たした者
鍼治療グループ(28人);平均年齢49.29 ± 10.32歳
 
【方法】
鍼治療を3〜4回/週で1ヵ月間行った。
足三里、太渓、 足臨泣、内関、神門に鍼を25mm刺入し、20〜60分の置鍼
 
​【結果】
食後の膨満感、早期飽満感、上腹部痛、うつ症状、QOLが改善した。
上腹部の焼ける感じ、不安症状は鍼治療グループのみで改善がみられた。
鍼治療によって症状の改善が治療後も3ヵ月持続した。
機能性ディスペプシア患者の血漿ガストリン濃度は、健康成人より低かったが、鍼治療によって健康成人レベルまで改善した。

機能性ディスペプシア患者の脳活動に対する鍼治療の影響と効果

【対象】
64人(男性:25人、女性:39人)の機能性ディスペプシア(食後愁訴症候群)患者
RomeⅢ診断基準の食後愁訴症候群の基準を満たした者
鍼治療グループ(34人):平均年齢23.97歳
 
【方法】
鍼治療を4週間で20回(5回/週)
梁丘、足三里、豊隆、衝陽に鍼を15〜25mm刺入し、鍼通電(2/100Hz)を行った。
 
​【結果】
鍼治療によって、食後の膨満感と早期飽満感、QOLが改善した。
機能性ディスペプシア患者の脳幹・視床の糖代謝が、健常人より高かったことが示されている。
鍼治療グループにおいて、NDIスコアの増加と関連して、脳幹と視床の糖代謝の減少がみられた。
→QOLの改善には脳幹と視床の不活化が関係していると考えられる。
鍼治療は、島皮質、視床、脳幹、前帯状皮質、視床下部の糖代謝を減少させ、ディスペプシア症状の軽減、QOLを改善した。

機能性ディスペプシアに対する鍼通電治療と血漿グレリン・CGRP・GLP-1への影響

【対象】
64人(男性:26人、女性:38人)の機能性ディスペプシア患者
RomeⅢ診断基準を満たした者
鍼治療群(32人):平均年齢42.6 ± 11.9歳
薬物療法群(32人):平均年齢41.8 ± 12.2歳
 
【方法】
・鍼治療グループ
鍼治療を1回/日で30日間、連続で行った。
足三里、三陰交、公孫、内関への30分間の置鍼
・薬物療法グループ
モサプリドクエン酸塩(5mg)を1日3回。30日間
 
【結果】
鍼治療、薬物療法ともにLDQのスコアが治療後に減少したが、鍼治療の方がより有意にスコアが減少した。
→鍼治療、薬物療法ともにディスペプシア症状が改善したが、薬物療法よりも鍼治療の方がより改善した。
 
鍼治療、薬物療法ともにFDDQLのスコアが治療後に増加したが、鍼治療の方がより有意にスコアが増加した。
→鍼治療、薬物療法ともにQOLが改善したが、薬物療法よりも鍼治療の方がより改善した。
 
血漿グレリンとGLP-1濃度は、鍼治療後、薬物療法後に増加したが、CGRP濃度は減少した。
 
有効率は、鍼治療グループが90.63%(29/32例)、薬物療法グループが 68.75%(22/32例)で鍼治療の方が高かった。
 
【結論】
鍼治療は機能性ディスペプシアの症状を改善させた。その効果は、グレリンやGLP-1などの消化管ホルモン分泌の促進によるものと考えられる。

食後愁訴症候群に対する鍼治療の効果

【対象】
ローマⅣ診断基準の食後愁訴症候群の基準を満たした18〜65歳で、1年以内に胃内視鏡を受け正常であった患者278名

【方法】
鍼治療グループ(117名):20分間の鍼治療(ツボ9カ所に鍼を刺入)を計12回(3回/週で4週間)
偽鍼治療グループ(112名):ツボでない場所の皮膚表層(2〜3mm)に鍼を刺入

【結果】
鍼治療後に、「とても改善」、「改善」と答えた患者の割合が、鍼治療グループは83%、偽鍼治療グループは51.6%と鍼治療グループのほうが有意に高かった。
 
主要な3症状(食後の膨満感、上腹部の膨満感、早期飽満感)がすべて改善した患者の割合が、鍼治療グループは27.8%、偽鍼治療グループは17.3%と鍼治療グループのほうが高かった。
 
ディスペプシアの症状(食後の膨満感、早期飽満感、上腹部の膨満感、げっぷ)とQOLが鍼治療によって改善した。
 
鍼治療の効果は12週間継続した。

抜け毛や薄毛に鍼灸治療は効果がありますか

鍼灸治療は、さまざまな抜け毛や薄毛に効果があります。

洗髪時や乾かす時に抜け毛が増えた
・髪の毛が細くなってきた
・髪が弱り髪型が決まらない
・地肌が見えるようになってきた
・出産後から抜け毛が目立つ
・薬の副作用で毛が抜けてきた
・無理なダイエットで抜け毛が始まった
・EDの副作用が嫌だから薬を使いたくない
・HARGや植毛は高額で手が出せない

以上のようなことに該当する方は薄毛専門の鍼灸治療をおすすめします。

男性型脱毛症(AGA)に鍼灸治療は効きますか

男性に特徴的な薄毛として男性型脱毛症(AGA)があります。
 
AGAの原因は、DHT(ジヒドロテストステロンと呼ばれている悪玉男性モルモンと呼ばれている)が発毛を阻害することにあります。
 
AGAは、初めは軟毛化(太く長い毛が再生せず、細く短い毛に置き換わる)が進み、薄毛になります。そして、軟毛化ではヘアサイクルの成長期が短縮され、毛根が小さくなってしまいます。
 
AGAの症状は、早い人では20歳代前半から始まります。AGAの原因であるDHTは、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が体内の還元酵素「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」によって変化し生成されますが、これは遺伝的な素質に加え、ストレス、食事、生活習慣などの影響が大きいと考えられます。

AGAにはよくあるパターンとして
ベジータ型、ザビエル型、波平型の3種類があります。
それぞれ鍼灸治療の効果がありますが、あまりにも症状が進行、年数が経過していますと効果が出るのに時間がかかってしまいます。
そのため、早めの鍼灸治療をおすすめします。
 

女性の薄毛(FAGA)にも鍼灸治療は効果がありますか

女性の薄毛は、FAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれています。
女性の場合は頭髪全体が均一に薄くなるのが特徴で、びまん性脱毛症とも呼ばれます。
 
びまん性とは「広範囲に広がっている状態」という意味があり、男性のようにしっかりとハゲるのではなく、全体的に薄くなっていくという状態が多いです。

FAGAには、ルードウィッグ型、クリスマスツリー型、ハミルトン型の3種類があります。
いずれも鍼灸治療の適応症状となります。

コロナ後遺症で抜け毛が酷いです

新型コロナウイスル感染症感染後、またはワクチン接種により脱毛症があらわれる患者さんは少なくありません。これは、細胞分裂が盛んな毛母細胞(毛をつくるもとになる細胞)が影響を受けたからで、このような抜け毛の症状に対して鍼灸治療は有効です。

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